MSCB債にはもっと気をつけろ!!
ここで、CB債について説明しました。CB債は基本的に成長が見込まれる企業が発行する有効な資金調達手段で、短期的な値上がり益を目論む投資家(というよりは、トレーダーと言った方がふさわしい。)にとっては悪材料と見なされる、という結論でした。
さて、近年、ライブドアのニッポン放送株の買収事件は、TVや新聞などで大騒ぎしましたが、そのニッポン放送の株を買うためにライブドアが資金を用意した手段がCB債の進化系(?)である、MSCB債の発行と呼ばれるものでした。
これから、このMSCB債について、極力簡単に、説明してみたいと思います。
背景
企業におけるファイナンス(事業運営資金の調達)の手段として、さまざまな調達手段があります。銀行などの金融機関から融資を受けたり、新規に株を発行し一般に売り出したり(公募増資)、社債を発行して市場から直接市場からお金を借りたり、、、などが一般的です。
どの調達手段も一長一短の特徴がありますが、企業経営的に見れば、公募増資>社債>金融機関からの借金という順序で、利子負担が軽く、良い資金調達手段といえます。(これがイコール株主にとって有効な資金調達手段とはいえません。)
しかし、すべての企業が、すべての資金調達手段の中から選べるわけではありません。いくら、新規の株券を刷るので、誰か買って下さい!!と叫んでいても、先行き不安の企業であれば、だれも買い手はいません。同様に、社債の発行や金融機関からの借用であっても、先行き不安な企業に対して、買い手・貸し手はなかなか見つかりません。(いくら利子を高くしても、倒産の危険があるような企業には、だれもお金を出してくれません。)
そこで、登場するのが、最後の秘密兵器 「MSCB債」です。
この債券の発行は、 どのような財務状態にあっても、資金を確保することができ、さらに企業経営を圧迫するような利子負担もほとんどない、企業経営者にとってはまさに夢のような資金調達手段です。
しかし、このMSCBは、いろんな意味で末期的な企業が、最後の資金調達手段として用いることが多く、見方によっては、既存投資家を食い物にした、極悪なる資金調達手段ともいえるのです。
MSCBとは?
すごく簡単に言うと、
MSCBとは、新株の転換価額が市場価格よりも、(ほぼ)常に低く設定されている転換社債のことです。
Moving Strike Convertible Bond の略日本語では「(円貨建)転換社債型新株予約権付社債」と言う名前で発行されています。
通常のCB債であれば、債券の発行時にあらかじめ新株への転換価額を設定しておき、基本的に変更することはありません。その転換額も現在の株価よりも高い値に設定することが多く、既存株価に与える影響を極力抑えてあります。
一方、MSCB債は、転換価額が可変であり、株価の上下、特に下落時に転換価額も下方修正する性質を持つ転換社債です。市場価格が100円だったら90円で、50円だったら40円で、新株に転換することができます。ですので、本債権を購入した投資家は、常に市場価格よりも安い値段で、新株を取得できますので、ほとんどリスク0で利益を手にすることができます。
MSCBの発行は、特定の引受人に対して発行する私募形式で行われることがほとんどで、海外のヘッジファンドが引受人になることが大半のようです。